- 新しめピアノトリオ4枚 -

ジャズにもブームがあるとしても常に人気を誇るのがピアノトリオ。そんな人気のピアノトリオから最近のアルバムを4枚選んでみました。いずれも個性的で魅力いっぱいのアルバムだけに、ぜひ聴いてみてください。


デビッド・ヘイゼルタイン・トリオ
ー不思議の国のアリスー

ブラッド・メルドー・トリオ
ーエニシング・ゴーズ

 このジャケット見つけて買わない男は男じゃない!!
て、言ってもいいくらい見つめてしまうジャケットだ。お店に来た女性に「このジャケットの女性は大人かな、子供かな?」と聞いたら、すぐに「大人の女性ですよ」と答えてくれた。腰のくびれ具合が大人の女性なんだそうである。実際こんな女性が目の前に現れたら、かなり危ない奴だと警戒しないわけにはいかないが、ここが不思議の国のアリスたる由縁である。こんな妖艶な別世界に入り込むのも悪くはないなと思ってしまうわけである。肝心の演奏はどうかというと、ジャケットに負けず劣らずの快演で録音もいい。ベースのジョージ・ムラツも健在!

 メルドーの久しぶりの新作はスタンダード集である。オリジナル集も録音したようで、こちらはのちに発売されるらしい。しかし今回のアルバムは今まで私が持っていたのメルドーの印象を大きく変えてくれた。それもよく変えてくれたのである。変拍子で難解な展開に発展していくトリオではあるが、この作品は情緒的でしっとりとしたプレイ、そして瑞々しさがアルバム全体に浸透している。もちろん変拍子を始めとしたメルドー・カラーも発揮されながら素晴らしいスタンダード集に仕上がっている。ぜひともみなさんにお薦めしたいピアノトリオの傑作である。

レイチェル・Z ・トリオ
ー愛は面影の中にー


ジャン=ミッシェル・ピルク・トリオ
ーウェルカム・ホームー
 女性ピアニストにしては少々荒削りで荒っぽいタッチである。しかしそれがじゃじゃ馬娘のようで魅力的なのかもしれない。映画のヒロインにもよくありそうな強気でいて、時に激しく泣きじゃくる感情の激しい女性。そんなピアニストに感じる。選曲も魅力的だ。スティングの「フラジャイル」はピアノトリオでもよく取り上げられる名曲になった。他にもどこかで聴いたことある曲からよーく知ってるスタンダードまで、彼女の魅力あるプレイに、つい何度も聴いてしまうアルバムである。ちなみにベースも女性、ドラムも女性と思える女性だけのピアノトリオである。  いきなり「SO WHAT」である。だからどうしたと言われても困るんであるが、天下の「SO WHAT」である。こりゃ正座して聴かなきゃなとなる。しかし激しい演奏だ。感情的で突発的、短気で激情したオヤジに叱られているような気になってくる。そして最後は、頑張れよと頭なでられて励まされて終わるのである。そんな感じのピアノトリオだ。途中、あれ洋輔さんかなと思えてしまうところもある。ぜひ生で聴きに行って、叱られてカツ入れられてみたい。なぜかそんな気持ちになってしまうピアノトリオなのである。