- 夏の終わりに熱いライブを -

 夏も過ぎ秋の風を感じる頃、楽しかった夏の一日を思い出して熱いライブに耳を傾けるというのはいかがでしょう! 音楽というのは不思議なもので時間を超えて、その時の熱気や感情、匂いまでが蘇って来るものですよね。


V.S.O.P
ーLIVE UNDER THE SKYー

ジェラルド・アルブライト
ーLIVE AT BIRDLAND WEST

 邦題は「熱狂の田園コロシアム」である。1979年7月26日東京の田園コロシアムで行われたライブですが、もう26年も前のことになってしまったんですね。
フレディtp、ショーターsax、ハービーp、ロンb、トニーdsというメンバーが集まったスーパー・バンド。本来はマイルスを誘い出そうという思案だったらしい。
当日は大雨。そんな雨の中でのライブは観客やプレイヤーの気持ちを逆に奮い立たせ、最後のアンコールはハービーとショーターのデュオという感動のフィナーレを迎えるに至ったのである。残念ながら私は行けなかったが、実際聴きに行った人の話によると素晴らしいライブだったらしい。その熱気はアルバムを聴けば誰でも納得するでしょうね。

 実はこの人のアルバム、これ一枚しか持っていない。イメージとしてはフュージョン系スタジオ・ミュージシャンという感じでしょうか。ポップなフィーリングの中にもR&Bに根ざしたソウルフルなフレーズと熱い音色。まさに聴いてて気持ちがいいエンターテナーぶりを発揮しながら大いに盛り上げていくというサックス・プレイヤーです。このアルバムはジャズっぽさを全面にだして一曲目からコルトレーンの「インプレッションズ」。これで勢いつけ、続く「我が心のジョージア」ではつぼを心得たアレンジと熱気溢れる節回しの連続。もうご機嫌に乗せられてしまうのは間違いないでしょう。バラードもうまいですよ!

チャールス・ロイド
MONTREUX '82

深町 純
ーTHE NEW YORK ALL STARS LIVEー
 ピアノの化身ミッシェル・ペトルチアーニとの出会いによって復活を決めたというチャールス・ロイド。こちらもサックスの化身とも言える。そのペトルチアーニと共にカルテットで出演した1982年モントルーでのライブである。まずなんと言っても音が良い。モントルーのライブというとお城のエバンスもそうであるが、なんか録音が良いというイメージがある。もちろん演奏内容も文句なく、観客の盛り上がりも最高潮という感じである。水を得た魚のようにサックスを吹くロイド、クリアで力強く美しいペトルチアーニのピアノ。それをサポートするベースのダニエルソンやサンシップのドラミングも生き生きとしたエネルギーに満ちている。DVDも出てるんで、そっちもいいかも!  深町純がニューヨークから呼び集めた、まさに嘘偽りのないオールスター集団である。これだけのメンバーが集まっての演奏は、後にも先にもこれっきりだったという幻のライブアルバムでもあった。数年前にやっとCD化されて再び注目を集めるようになったのは嬉しい。メンバーはランディとマイケルのブレッカー・ブラザース、そしてデイヴィッド・サンボーン、マイク・マイニエリ、スティーヴ・カーン、リチャード・ティー、アンソニー・ジャクソン、スティーヴ・ガッドという当時飛ぶ鳥落とす勢いのスーパープレイヤーばかり。アルバムの内容も悪いわけがない。まさにフュージョンブームに油を注いだ名盤である。1978年東京でのライブ。